ヨコハマの会社概要
横浜ゴム(以下「ヨコハマ」)は、東京都港区新橋に本社を置くタイヤメーカーです。1917年に設立されて既に創立100周年を迎えた、歴史と実績のある会社です。この「ヨコハマ」という名称は、創業当時から工場が横浜市に所在していたことに由来します。2017年で創業100年をむかえる確かな技術力と信頼をさらに高めるべく、「心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献します」をビジョンに掲げています。
創業者は中川末吉氏で、アメリカのタイヤメーカーであるBFグッドリッチ社との合弁会社として設立されました。そのため、当初タイヤの商標は「グッドリッチ」だったのですが、1937年におなじみの「ヨコハマ」に変更されました。
現在の社長は南雲忠信氏で、資本金は389億900万円(2017年12月現在)となっています。
取り扱っている製品は、よく知られた乗用車用タイヤはもちろんのこと、建設車両・産業車両用のタイヤ・チューブ、またゴムの技術を生かしたゴムホースやベルトコンベアなどがあります。加えて、工業資材や航空部品、スポーツ用品など、幅広い分野にわたります。
ヨコハマの沿革
ヨコハマは、1917年に「横浜護謨製造株式会社」という社名で設立された会社です。「ヨコハマ」の名称は、当時工場を置いていた横浜市に由来しています。
しかし、1923年の関東大震災、また1945年の空襲で工場は被災し、工場は操業不能に陥りました。こうした苦しい時期を乗り越え、ヨコハマは技術を蓄積していきます。
1955年には、日本初のチューブレスタイヤがヨコハマから発売されました。今やほぼ全ての乗用車が装着するチューブレスタイヤですが、日本ではヨコハマがパイオニアとして開発したのです。
1978年には、ヨコハマを代表するタイヤブランドである「アドバン(ADVAN)」の初代モデル、「ADVAN HF」が発売されました。
また、2000年前後からは、社会の要請に応える形で、環境に配慮した製品をつぎつぎに開発していきます。1998年には、低燃費モデルの「DNA」シリーズを発売。それを引き継ぐようにして、2010年には現在でも主力のブランドである「ブルーアース(BluEarth)」シリーズを発売します。
一方で、ヨコハマは海外進出も積極的に行っています。1969年には、アメリカにタイヤ販売会社を設立しました。これを足掛けとして、以後北米とアジアを中心に海外に進出していきます。2000年以降には、中国を中心としたアジアでの事業を拡大する一方で、ヨーロッパにも進出し、よりグローバルな事業を展開しています。
売上高は約6,680億円(2017年12月期)で、このうち72.1%が主力のタイヤ事業となっています。ゴム・タイヤの業界シェアは、世界では第8位、日本では第3位となっています。(ブリジストン社調べ)
ヨコハマタイヤの代表ブランド
ADVAN(アドバン)
1978年に発売が開始された「アドバン(ADVAN)」は、ヨコハマのハイエンドブランドです。当初は、モータースポーツ用のタイヤとして開発されましたが、現在では、乗用車用のプレミアムタイヤという位置付けのブランドになっています。また、4WD/SUV向けのラインナップもあります。
アドバンのブランドコンセプトは、走りを楽しむことに置かれています。そのため、乗用車用とはいえ、スポーツカー向け、ラグジュアリー車向けのラインナップも充実しています。
一般の乗用車向けのモデルでは、特に走行中の快適性が重視されます。そのため、タイヤのパターンを細分化・最適化し、走行中のノイズを抑制しています。
また、路面が濡れているときのグリップ性能を高めるために、ウェット性能を高めるシリカをより細かく均一に、ゴムに混ぜ込むことに成功しています。この技術改善により、耐摩耗性能と燃費性能も向上しました。
さらに、タイヤ内部は6層の構造になっています。路面に接するキャップコンパウンドの中には、特定の周波数帯のノイズを低減する部分、それに燃費性能向上のためのカバーが装着されています。このようにして、アドバンは快適性と安全性を両立しているのです。
適合車種:ボルボ v70、日産 リーフなど
BluEarth(ブルーアース)
「ブルーアース(BluEarth)」は、その名前からも連想されるように、環境への優しさを強く意識した、ミニバンを含む乗用車向けブランドです。低燃費とウェットグリップを両立するため、ブルーアースにはヨコハマの化学技術が詰め込まれています。
まず、ウェット時のグリップ性能を高めるためのシリカは、極限まで増量されました。また、そのシリカは「ナノファインシリカ」という新開発の素材となりました。これは、通常大きな塊となってしまうシリカを、1万分の1mmより小さいサイズにしたものです。さらに、「高反応カップリング剤」により、ゴムとシリカの結びつきを強め、耐久性を高めました。
適合車種:マツダ プレマシー、トヨタ アイシスなど
ECOS(エコス)
「エコス(ECOS)」は、スタンダードな低燃費志向タイヤのブランドです。2001年に「DNA」シリーズのうちの1つとして売り出されたエコスは、ヨコハマのロングセラータイヤとなりました。現在では、「ブルーアース」の技術も吸収しながら、スタンダードタイヤとしての地位を確立しています。
適合車種:トヨタ ファンカーゴ、スズキ MRワゴンなど
GEOLANDAR(ジオランダー)
昨今は、SUVを「街乗り」で使う方も増えてきています。SUV向けのラインナップである「ジオランダー(GEOLANDAR)」には、オフロード性能はもちろんのこと、オンロード性能にフォーカスした製品も登場しています。悪路での運動性能を高めるために重要なのは、溝の構造です。複雑な設計のタイヤ表面の中に、幅が広くジグザグな溝を持たせることで、水・土・石が詰まらないようになっています。また、これらの大きな溝は、ときに固く、ときに泥だらけの地面をグリップするのにも役立ちます。タイヤの側面にはブロックが設けられており、タイヤそのものの摩耗を防ぐとともに、タイヤが泥に埋もれた際のトラクションを生み出します。
適合車種:トヨタ C-HR、ホンダ ヴェゼルなど
PARADA(パラダ)
SUV向けのラグジュアリータイヤブランドが、この「パラダ(PARADA)」です。スポーツやオフロード向けのラインナップもある「ジオランダー」とは違って、パラダはオンロード向けのブランドです。そのため、快適性がもっとも重視されているのが特徴です。
適合車種:トヨタ エルフォード、トヨタ レクサス SUVなど
iceGUARD(アイスガード)
「アイスガード(iceGUARD)」は、ヨコハマの乗用車向けスタッドレスタイヤのブランドです。1985年から続くヨコハマのスタッドレスタイヤの歴史を受け継ぎながら、数々の技術を駆使して作られたタイヤです。スタッドレスタイヤといえば雪道での走行性能のみがフォーカスされがちですが、アイスガードはウェットな路面の走行性能やノイズ低減性能も高いタイヤです。
まず、タイヤ表面のパターンの最適化と、ナノ技術を利用した吸水ゴムによって、雪道での走行性能のアップに成功しています。また、これらはウェット路面での走行性も向上させています。
適合車種:ホンダ グレイスハイブリッド、トヨタ イストなど
ヨコハマタイヤの製造技術
サマータイヤの技術
「アドバン」のパターン技術
ヨコハマのフラッグシップモデルである「アドバン」には、特に走行中のノイズ低減のため、パターン技術が駆使されています。
タイヤ表面のブロックは、できる限り小さくなるように設計されています。さらに、144個に分割されたブロックには5種類の大きさがあり、ノイズを抑制することに成功しています。
「ブルーアース」のナノブレンドゴム
燃費向上のためには、シリカを加えることが必要です。このシリカの配合を改良したのがこの「ナノブレンドゴム」です。
まず、シリカを多量配合した際に、大きな塊となって集まってしまうと、本来の性能が発揮できません。そこで、このシリカを分散させ、また均一にゴムに混ざるようにする「シリカ分散剤」を配合しました。また、そのシリカとゴムの間の結びつきを強める「高反応カップリング剤」を配合し、分散・均一をより促進するとともに、耐久性も高められたのです。
「ブルーアース」のナノファインシリカ
燃費を向上させることができるシリカの塊を、より小さくしたものが「ナノファインシリカ」です。これにより、シリカの塊は数十ナノメートルほどにまで小さくなりました。1ナノメートルは100万分の1ミリメートルですから、ナノファインシリカの大きさは、1万分の1ミリメートルよりも小さいということになります。ヨコハマは、タイヤに限らないゴム製品全般を取り扱うメーカーであるということを生かし、こうした高い化学技術をタイヤに応用しているのです。
「ブルーアース」のエアテックスアドバンスドライナー
タイヤの内側で気密性を保持する役割を担っているのが、インナーライナーです。ヨコハマは2009年に、従来のインナーライナーを改良して、厚さと重さを80%カットしつつ、優れた空気漏れ抑制効果を発揮する「エアテックスアドバンスドライナー」を独自に開発しました。これは、気密性の高い樹脂と、柔軟性のあるゴム素材を組み合わせて作られています。
スタッドレスタイヤの技術
「アイスガード」の非対称パターン技術
「アイスガード」の表面パターンは、非対称になっています。つまり、車から見てインサイドとアウトサイドでは、異なるパターンを採用しているということです。
インサイドは、氷上でのグリップ性能が高くなるように設計されています。溝の面積は比較的小さく、接地面積が大きくなっています。また、サイプと呼ばれる細かい溝が多くついており、これがグリップ性能を増しています。
対してアウトサイドは、雪上での性能が求められます。溝の面積は大きく、これにより雪を踏み固めて走行します。溝が交差する点は、三角形の溝が彫られており、溝に入った雪の排出を促進します。さらに、縦方向に作られたジグザグの溝が、雪をつかむのを手助けします。
「アイスガード」のプレミアム吸水ゴム
「アイスガード」は、表面パターンによる性能だけでなく、ゴムそのものの性能も高いものとなっています。
この「プレミアム吸水ゴム」は、その名の通り、タイヤ表面の水膜を吸収します。車がスリップしてしまう原因というのは、氷とタイヤの間に存在する水です。この水の膜を除去するため、プレミアム吸水ゴムは2つの武器を持っています。それが、「新マイクロ吸水バルーン」と「エボ吸水ホワイトゲル」です。「新マイクロ吸水バルーン」は、いわばタイヤ表面の穴です。タイヤの表面には無数の小さな穴が空いており、そこに水が入ることができるようになっています。そして、その水を「エボ吸水ホワイトゲル」が吸収する、という仕組みになっています。結果として、水膜を除去できるのです。
また、このゴムにもシリカが入っていますし、「新マイクロ吸水バルーン」によって、表面には無数の穴が空いています。これらによって、氷の凹凸をしっかりとグリップすることができるように設計されています。
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